ペンペン草


「スキーバスツアー事故とお役人」

Jan.25, 2016


またもや大参事!でも対策や監査ってズレてない?

事故の原因って、なに?

またもや大参事、軽井沢でスキーバスが転落、前途ある若い命が失われた。
心からご冥福をお祈りしお悔やみ申し上げます。

国交省は早速、抜き打ちの監査をやったり、自動ブレーキの義務化や監査業務の民間委託をする方向を示している。

ちょっと待て!
監査を厳しくしたら事故は減るのだろうか? 確かに備え付けられるべき帳票が無かったり、運行記録の記載があいまいだったり、 その程度の管理もできないで、安全が確保できるか?と云う意見も有ろう。 私もあそこまで管理がいい加減な会社を放っておいて良いとは思わない。
しかし事故は帳票が不備だったから起きたのではない。 バス会社に対して問われるべきは、ドライバーの採用と研修があまりにいい加減だったことだろう。

脱税や無駄遣いの会計監査と違って、交通事故など、会社もドライバーも起こしたくて起こしているのでは無い。
監査を厳ししくしたからと言って、事故は減らない。

例えば、緊急抜き打ち監査で、「休憩場所の記載が無かった」事をとんでもない事のように叱責していたが、道路を使う以上 時間の読みはあくまで参考程度にしかならない。特に雪道はほぼ100%渋滞が起こる。そんな時は今度は運行管理者に報告して変更しろと云う。
ここにまた、矛盾がある。渋滞があれば当然臨時でトイレ休憩が入る。バスのトイレ休憩など通常15分から20分だ。 その間にドライバーは乗客の確認。車の点検、記録簿の記載、もちろん自身だってトイレにも行く。 それに加えて、休憩場所や経路の変更を管理者に連絡?
ボタン一つ押せばつながるならまだしも、いちいち連絡などしていては つかの間の休憩すら取れない。加えて「シートベルトの装着点検」をドライバーに嫁す案もある。渋滞で全体の工程も押してくる。 これこそ連絡しなくてはならない。

どこで休むとか、経路を変更するとかは、道路事情に合わせてドライバーに任せるのが一番。連絡は落ち着いてからでよいのでは? どこまでドライバーをイジメれば良いのだろう?

死者に鞭打つようで悪いが、今回の事故原因は単にドライバーの大型バス運転未熟。その原因として、バス会社の採用研修の無責任。 これしかない。

そして、今後事故を無くすためには、監査を厳しくしても何の役にも立たない。自動ブレーキを義務付けても、費用対効果に疑問。 もっと変えるべきことがあるでしょ?

では、どうしたらこのような事故が減るか?

自動ブレーキが有ったら回避できたのか?

答えはNOだ。ご承知のように自動ブレーキは障害物を感知してブレーキがかかる。
今回の事故はガードレールに横っ飛びで突っ込んでいる。自動ブレーキが有っても全く作動しなかったか、 ガードレールに突っ込んだ瞬間だっただろう。

それに、道路を走るのだから、電車のATCとはわけが違う。予期せぬタイミングで誤作動したら、むしろ危険だ。 それに、運転しているのはプロのドライバーだ。これによって防げるのはごく小さなうっかり事故か、 まぁ、意識を失った時には有効かもしれないから無意味とは言わないが、原則新車にしか付けられない。 どんだけコストがかかって、これはバス会社をどんだけイジメるのって話だ。

じゃぁどうする? まず、運転手の採用に問題がありましたね。経験を確認できない人はせめて数か月かけて研修する。
運転経歴書を前職場からもらおうとするといじわるされる可能性があるので、 源泉徴収票のように、会社に退職時に発行するよう義務化する。勿論、辞められた腹いせに嘘を書く事業主も出てくるので、 虚偽の経歴証明を出した場合の罰金なりを重くする。

ハード面では、居眠り防止装置の義務化。場合によって警告が車内に流れる仕組みにする。 そうすれば、乗客の方からドライバーに休憩を促すことができる。
もう一つ、50Km以上でニュートラル走行した場合警報を鳴らす。
そうすれば冷静になって、高速ギヤに入れ替えれば、弱いがエンジンブレーキも排気ブレーキも掛かる。

テレビではわけのわからないこと言って居るが・・・

ニュートラルは事故のショックでギヤが抜けた?

あのスピードが出てる映像を見たら、ギヤがニュートラルだった原因は容易に察しが付く。 減速出来ずにパニクッたドライバーが、上のギヤに入れ直さなかった為だ。

昔よくダブルクラッチとかレースではヒール&トゥとか流行ったのをご存じだろうか。
大型車ではノンシンクロだったり選択摺動式なんて言うのが普通だった頃は、ダブルクラッチが普通だった。 特に減速時は合間に"中吹かし"を入れて、カウンターシャフトを回してやらないとギヤが入らなかった。 レーシングカーも同じ、カーブ手前でブレーキングしながらこの"中吹かし"を入れる為、 つま先でブレーキ、かかとでアクセル(あるいは逆)の操作が必要になる。

事故直前の操作はこうだ。上り坂を3速当たりで登り、頂上過ぎで4速か5速に増速。そこで思わぬスピードが出てしまったため、 今度は慌てて3速に減速しようとした。 ドライバー(昔のひと)は簡単に減速できると思ったのだろう。
ところが、大型バスは30年ほど前から、パワーシフトになっている。 いわゆるシフトレバーとポジションは単にスイッチと同じ。この場合3速の位置にレバーは収まる。
普通は多少のタイムラグはあってもランプが赤から青になってギヤが入ったことを知らせる。 ところが、タイヤ側とエンジン側の速度が合わなければ、"中吹かし"の説明の通り物理的に入らない。 ランプは赤のままだったのだろう。
さらに報道ではコンピューター制御の上、「ニュートラルに戻す」と言っていたので、 レバーも戻っていたのかもしれない。
ここで冷静に元の4速とか5速に入れ直せば恐らく何の問題もなかったと思うのだが。

↑私も30年以上前のは乗ったことがあるが、最近のは見てもいないので多少違ってても、ツッコミは無しという事で願います。

いよいよ、本題の国交省

監査業務を民間委託って

前の関越事故では規制緩和でバス会社が乱立したのが原因、という事で規制が強化された。 今回も同じパターンだ。
せっかく規制緩和で、競争原理が働きバス料金が下がった。にも拘らず、さもそれが原因で事故が起きていると言いたげだが、 まぁ、旧運輸省、国交省にしてみれば「渡りに船」また天下り先が増える絶好のチャンスだ。

前の緩和でバス会社に天下り、今度はおそらく「バス安全監視協会」とか言うような独立行政法人ができ、 上から下まで国交省退職者の受け皿になるのだろう。
監査する側される側、ダブルでおいしい。

前回の関越事故だって、手前のガードレールと防音フェンスの隙間が事故被害を大きくした。 あそこに、高速でよく見る黄色の樽状の衝突衝撃緩衝具、クッションドラムが1個置いてあれば、死者はでなかったと思う。
道路の不備や管理上の問題点は隠したうえでひそかに改善し、責任のすべてをバス会社やドライバーに押し付けていく。

30年前なので年配者しか記憶にないかも知れないが、犀川スキーバス転落事故は今回と非常によく似ている。
1985年1月28日、学生ら総勢46名を乗せたバスは、大安寺橋にさしかかる手前のカーブで、ガードレールを破り極寒の犀川に転落。 乗客の大学生22名、教員1名、運転手ら2名、合計25名の命が失われた。

被害者のほとんどが学生、運転手の過労による運転ミスによるスリップ事故だった。 この時の教訓はどうしたのだろう?
大切なのは、お役人を増やして、業者やドライバーを虐める事ではなく、ドライバーが安心して運転に専念できる、 環境と待遇を確保することではないか?

余談だけど・・・
あの抜き打ち監査の時、ペコペコしてるドライバーは、あの監査が原因で到着でも遅れれば、客からクレームが入るうえ、 見かけ上の7時間の仮眠時間が減る。客はホテルで1泊するが、ドライバーは別の帰り客を乗せて戻ってくる。0泊2日だ。
それだけやって、もらうのは3万から3万5千円。
「安全に対する意識が低いんじゃないか」と叱責していた職員はその数倍の給料のほかに臨時の手当てをもらってるはずだ。悲しい・・・。

またまた余談で、なおかつ別の話だけど、ダブルでおいしい天下りに似た話・・・
電力自由化で、ソフトバンクのような再生可能エネルギーの発電者はどうなるのか? まさか、40円で電力会社に売って、18円で買い戻して、22円で小売するみたいな・・・。 おい!そのまさかか?


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